上司や部下を「変えたい!」と思うなら、本当に変わるべきは「あなた」かもしれない

「上司がこういう言い方をしてくれたら」「部下がこんなふうに行動してくれたら」。働いていると、目の前の人に変わってほしいと思う場面に何度か出くわすことがあるでしょう。だからといって、変えてやろう、と思うのは逆効果です。

そこで参考にしたいのは、企業の人材育成や組織開発をサポートしている三浦将さんの著書『相手を変える習慣力』。そこには、相手を変える前にまずは自分からということが説かれています。新たなる人間関係を形成していくために、その具体的な方法を読み解いていきましょう。

相手を変えるためには
「自分が優秀でなければならない」
と思い込んでいませんか?

「目の前の相手を変えることができる人」と聞いて、どんな人物が思い浮かぶでしょうか?影響力のある人、説得力のある人、尊敬される人、などは相手を変えるための力を持ち合わせていることは確かだと思います。

しかし、これらの要素は相手を変えるために、絶対的に必要とされる条件というわけではありません。それはただの「思い込み」です。いくらあなたが優秀だからといっても相手が変わるわけではありません。優秀であることが無意味だと言っているわけではなく「相手を変えるためには、自分が優秀でなければならない」という思い込みから、あなた自身を開放してほしいのです。

相手を変えるために必要な力は、自分が優秀であることではなく、さらに相手を変えてやろうという意思でもありません。必要なのは、自分の考え方や相手との関係性など、相手を変えるための習慣を変えること(=習慣力)なのです。

強制的に相手を
変えようとするのは逆効果

人が変わるプロセスのなかで大切なエネルギーとなるのが、「モチベーション」です。自分で変わろうというモチベーションがあるのと、他人から強制されるのとでは、どちらが変わる確率が高いでしょうか?その答えは明白ですよね。

強制する人に影響力がある内は、心の奥底に抵抗がありながらも変わるかもしれませんが、影響力がなくなったり、影響力外の環境では持続しにくいもの。親の監視下ではちゃんと勉強する子が、親が見ていないときにサボるケースがあるのと同じことです。

このように、強制的に相手を変えようとするのは逆効果です。本当の意味での変化にはなっていないのです。

部下のモチベーション低下は
まるでボディブロー

部下の仕事に対するモチベーションを上げたい、と考えている人も多いと思います。ここでは、あなたが部下という設定で、上司から下記の行動を受けたとイメージしてください。

・ダメ出しをされる
・できないことだけを指摘されて、できることを認めてもらえない
・ちゃんと見てくれている感じがしない

いかがですか?指摘されて変わろうという気になりましたか?

あなたも部下のモチベーションを上げる前に、下げてしまうような言動や行動を繰り返していませんか?私たちは意識せずとも、このようなことをしがちです。もし日常的に上記のようなことが行われていたとすれば、そのダメージはボディブローのように効いてきます。

相手に変わってもらうための前提として、大切なのは、相手のモチベーションを下げるような行為を繰り返さないこと。もし少しでも心あたりがあれば、捨てるべき習慣です。

その関係は、どんな関係?

結論から言うと、相手を変える習慣力において最も大事なことは「相手との関係性」です。あなた自身のことももちろん大切ですが、根本的なものは、どちらか一方がどうこうというわけではなく、関係性なのです。昨今、コミュニケーション能力がますます重要視されていますが、このコミュニケーションの真の目的は、関係性の構築にあるといえます。

関係性の構築は、ビジネスをする上でもっとも大切なことです。例えば、営業職の仕事で最も大切なことは顧客との関係性の構築ですし、リーダーの仕事だってメンバー、他部署、そして他のステークホルダーとの関係性の構築が重要です。

まわりの人であなたが「良い営業だな」とか「良いリーダーだな」と思う人の顔を思い浮かべてください。おそらくその人たちは、関係性の構築がしっかりとできる人でしょう。

すべての人と自分は
「ヨコの関係」である

上司、部下、クライアントなど、良好な関係を築くことができるかどうかの最も大切な土台は「ヨコの関係」にあります。人と人は、基本としてヨコの関係。上下関係があるのは、あくまで上司と部下という会社の仕組みの中にあるものです。

まずは上下関係を手放すことから始めてみてください。もちろん、仕組みの中の上下関係を無視しろというわけではなく、すべての人と自分はヨコの関係にあるという考えを持つことを徹底させるのです。

社会的仕組みはドラマのように設定されたもの。その舞台では、あなたがたまたま上司や部下の役柄を演じている感覚を持ってください。大切なのは「あなたと私は、人として絶対的にヨコの関係だけれども、この会社の仕組みの中で、たまたま上司と部下という上下関係の役柄を演じているだけ」と平等的な考えを持つこと。そうすることで、相手を変える土台作りができます。

ヨコの関係を意識するなど、自分の対応が変わると相手も変化していくはず。土台作りをしっかりして、相手を変える習慣力を身につけましょう。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。