旅するシェフの「世界のごちそう」を、自宅で楽しもう!

旅に出る理由に、その土地の味を楽しむことを挙げる人はとても多いだろう。豆がぎっしり入ったダルカレーを食べたいのであればインドへ行けばいいし、焼きたてふかふかのバゲットを頬張りたければフランスへ行けばいい。と、こんなふうに。だけれど、そんな気軽に旅に出られないのも現実だろう。飛行機に乗らずとも、世界の味を楽しめたらどんなに素敵だろう。食いしんぼうとしては、そんなことをつい夢見てしまう。

みんなにも味わってもらいたい。
その想いが人をつないでいく。

神戸に、世界を旅しながら、その土地の味を覚え、帰国後、195か国の料理を作ったシェフがいる。自分が住んでいる国以外のごちそうを味わうことで、その土地を身近に感じてもらいたいと、食を通じた様々な活動に取り組んでいる本山尚義さんだ。

本山さんは33歳の時に世界の味を楽しめるレストラン『世界のごちそうパレルモ』をオープン。そこで、195か国の料理を2年かけて提供する「世界のごちそうアースマラソン」を開催した。旅先で味わった料理を日本でも食べられることや、現地に行かなくても旅行気分を味わえると、とても好評だった。

世界のごちそう、いただきます!

家庭でも気軽に世界の料理を味わってもらいたいと作られたのが『世界のごちそう博物館』だ。化学調味料は使わず、具材を大きめに切ってうま味を引き出すことで、できるだけ、お店と同じような味わいを楽しめるよう工夫を重ねた。パッケージの可愛らしいイラストは、もともとレストランの常連客であったイラストレーターによるもの。ひとつひとつ、本山さんの手によってパッキングされて、私たちの手元に届くのだ。

シリーズの第一弾で、今なお定番で人気があるのは、アメリカの煮込み料理、ガンボである。オクラ、玉ねぎ、トマト、鶏肉などからでるうま味がベースとなる、アメリカのスローフードだ。オクラは、アメリカが原産でかつては「ゴンボ」とも呼ばれていた。カレーライスのように、白いご飯の上にたっぷりかけていただくと、とっても美味しい。

世界の料理を食べること、世界に関心を持ち、その国の現状を知り、何かアクションをおこすこと。この想いは、レストランの厨房から『世界のごちそう博物館』のほか、執筆、講演活動まで広がっている。そして、現在、完成すれば、おそらく世界で初めての全世界のレシピ本となる、195か国のレシピ本を作るためのクラウドファンディングも始まった。

世界にはさまざまな国があり、人が住み、料理を作り、食べている。いつ、どこで、何を食べるのか。食材はどこで手に入れるのか。レシピや食材にはどんな歴史があるのか。こんなふうに、ひとつひとつに投げかけてみると、世界の料理を食べるということは、単におなかを満たしたり、美味しさを追求することではなく、その国の文化に直に触れることなのだと分かる。本山さんが覚えてきた世界の味は、そのまま、私たちの生きる知恵へとつながっていくのだ。

Licensed material used with permission by 世界のごちそう博物館, ライツ社
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。