カナダ鉄道会社が「デコ列車」に本気を出すステキな理由

ある意味、これは“走るイルミネーション”。

だけど、単なるクリスマス用のデコレーションを施したお気楽列車な訳ではありません。今年で18年目を迎える、カナダ太平洋鉄道(CP)のホリデートレインが、今年もカナダとアメリカを横断します。

カナダとアメリカをつなぐ
全長10,000キロのデコ列車

毎年この時期になると、車体をイルミネーションでギラギラに装飾したご機嫌な列車が、東部ケベックから西の果てバンクーバーを目指してカナダを横断します(一部は米ルートへ)。今年で18年目を迎える、カナダ太平洋鉄道(CP)の「ホリデー・トレイン」がそれ。

アメリカ北部を経由するルートも合わせると、走行距離はおよそ10,000キロにもなるんだとか。今年は、11月25日から12月17日までの22日間。時間をかけてのんびり走ります。

わざわざこの列車を見るためだけに、時刻表を確認して通過する前から場所を陣取る人も多い超人気イベント。豪華な観光列車に乗って楽しむよりも、こちらは列車を待つことが楽しみの主題にあるようです

というのも、こちらは客車よりも貨物列車がメインだから。

ライブ、サンタ、トナカイも登場!?
しかも、イベントはすべて無料!

列車は行く先々でいろいろなチャリティーイベントが用意されています。クリスマスシーズンに合わせ、サンタクロースが子どもたちにお菓子を振舞ったり、貨物列車の扉がどど〜ん、と開いたかと思えば、カナダを代表するミュージシャンたちが登場し、その場で生ライブ。

そして、これらどれも無料。その代わり、ホリデー・トレインを楽しみにショーにやってくる人たちは、わずかばかりの食べ物を抱えてやってきます。その理由がこちら。

困っている誰かのために
みんなの寄付を乗せて走る

ホリデートレインは、みんなの寄付を乗せて走る列車だから。

停車する駅で、イベントにやってきた人たちから寄付された食料は、すべてCP鉄道を介してフードバンクへと送られる仕組み。毎年1,800トン近い物資が、必要とする150近いコミュニティに届けられているんだそう。さらには、チャリティー募金も。

なるほど、客車ではなく貨物で走る理由はそこにあったのか。

手づくりの飾り付けも
鉄道社員の業務のうち

ホリデー・トレインの装飾は出発の1ヶ月前からすでに始まっています。

百万個を超える照明の設置から、客車内のオーナメント飾り付けまで、一つひとつがCP鉄道社員の手によってデコレーションされていくそう。

毎年やるのなら、ホリデー・トレイン用に列車を確保しておけばいいのに、と思うけれど、この飾り付けをすべて自分たちでやることにも、同社は意味を感じているんでしょうね。デコレーションやイベントはそのままに、お金をかけずに済むところはかけない、という。

こうした目に見える社会貢献活動に積極的で、しかもそれをイベントとして楽しんでしまう。なかなか日本の鉄道会社では考えられない話ですが、ちょっぴりうらやましくもありませんか。

Licensed material used with permission by Canadian Pacific Hpliday Train
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