大統領選を目前にスターバックスが「カップ」のデザインを変えた理由

アメリカ国内だけでも11,000以上の店舗数を誇るスターバックスが、11月1日より新たなデザインのカップでの提供を始めました。おなじみウェービーヘアのサイレンではなく、モチーフに選ばれたのは人、人、人。

この「The green cup(グリーンカップ)」には、スタバからのある熱いメッセージが。

大統領選で二分する世論に
スタバからのメッセージ

現在、アメリカ国内限定で提供されているこのカップ。トレードカラーのグリーンはそのまま、そこに合計132人の人々が細いペンで描かれています。人種も、年齢も、職種もさまざま。これは、アメリカに暮らすあらゆる人々が、すべて1本の線でつながって描かれたデザイン。 

「スターバックスの従業員とお客さまが形成するコミュニティのつながりを表現しています。いまアメリカが分断されている中で、私たちはunity(団結、結束)のシンボルとして、私たち一人ひとりが共有している価値を、お互いにいたわりながら生きる必要性を、このデザインで示したかった」。

リリースでこう述べたCEOのHoward Schultz氏。はっきり表明こそしていないものの、背景には8日に迫った大統領選を前に二分するアメリカの現状に対し、「アメリカはひとつ」と訴えるスタバからの強いメッセージが見て取れます。

1本の線でつなぐ人。
「アメリカはひとつ」

途切れなく描かれた人と人。ファッションデザイナーからナース、ビジネスマンもブルーワーカーも。老若男女、世界のあらゆる場所からこの国に集まり、人種や宗教を超えてここで生活する人々。

アメリカを象徴するデザインが紙のカップとなり、人から人へと手渡されていく。スタバの意図はそこにあったのではないでしょうか。

描いたのは
日本人アーティスト

じつは、このグリーンカップのデザインを手がけたのは、アメリカに移り住み14年の日本人アーティストShogo Otaさん。ひと筆描きで人物を次から次に描いていく作風は、『Stranger People」と名付けられた彼の代表作です。

ひとつにつながってるって、ボクはとっても平和なイメージに思えるんですよね」、こう語るOtaさんのアイデアは、スタバのコーヒーを介して、スタッフとお客が、店と地域がつくりだすコミュニティそのものなのかもしれませんね。

スタバの企業スタンスを全米に(世界にも)発信するツールとなった、このグリーンカップがいつまで使用されるのかは定かでありません。でも、十分に利用価値のあるメッセージングでしょ。

ちなみに、NYタイムズスクエアの店舗では、カップと同じOtaさんのデザインがガラス窓を彩っているそうですよ。

Licensed material used with permission by starbucks
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。