安西先生に学ぶ、人の力を120%引き出す方法

Bリーグが開幕し、再び注目が高まっているバスケットボール。今の30代~40代に、バスケ漫画といえば?と聞いたら、ほとんどの人が『スラムダンク』を挙げるでしょう。ここでは、指導者としての安西先生にフォーカスしてみたいと思います。彼は温厚で、一見なにも考えていないように見えて、要所要所で部員たちを鼓舞する言葉を投げかけます。

遠越段さんの著書『人を動かす!安西先生の言葉 「スラムダンク」に学んで成功しよう!』では、そのコーチング術についてまとめられています。彼はなぜ、選手の能力を120%引き出すことができたのか?そこには、ビジネスパーソンも学ぶべき信念がありました。

「重大な選択」に対する
アドバイス

湘北高校が陵南高校との死闘を制してインターハイ出場の権利を手にした頃、安西先生のもとに、流川が訪ねます。

アメリカ留学に行きたい旨を伝える流川。しかし、安西先生は反対します。なぜなら、流川の最大のライバルである仙道に実力で劣っているにも関わらず、アメリカに行くのはただの「逃げ」でしかないからです。「君は日本一の高校生になりなさい アメリカはそれからでも遅くはない」と進言するのでした。

流川のアメリカ行きへの決意は、世界レベルの活躍をしたいという意欲の現れと共に、深層心理で逃げがあるのではないかと見抜いていたのです。

翌日、流川は安西先生のもとへ再びやってきて「よろしくご指導ご鞭撻のほど…お願いします」と頭を下げました。

夢を持ち、人生の計画を立てるのは良いことです。しかし、夢や目標に近づくためには段階があります。一つひとつステップアップしていく地道な努力も必要なのです。

そのことを教え、導いてあげるのもコーチングのひとつだと言えるでしょう。

「感じる力」を伸ばしてあげる

安西先生は、選手たちの気持ちをよく読むことができる人です。

しっかり観察し、育つ力をサポートしてあげようと強く思っています。あくまでも選手が出発点であり、中心なのです。だからこそ桜木のジャンプシュート2万本特訓のときも、本人がやりたいと思っているから、実行するように促したのです。

特訓により基本的なシュートを身につけて、改めて流川の巧さを思い知ったのです。すかさず安西は桜木に声をかけ、流川の3倍練習しないと高校生のうちには追いつけない、と伝えます。桜木は安西先生の言葉の意味を理解し、思いつめた表情になります。

スポーツでも、ビジネスでも、人が成功し成長していくために必要な力が「感じる力」です。2万本シュートを特訓することで、桜木にも感じる力が身についたのです。安西先生は、流川に負けたくないという桜木の野心を活用しながら、感じる力を伸ばしてあげようとしました。

このように、適切な場面で適切な言葉を伝えることが大切です。

自ら問題を発見できる
チームをつくる

全国大会一回戦。湘北高校は残り2分のところで10点差のリードを守っていました。安西先生は安堵することなくゲームの流れをじっくり眺めていました。そして気づくのです。豊玉の集中力がアップし、メンバーの顔つきが変わっていることを。そして、湘北高校のメンバーが勝ったなどと思ってプレーをしていたら、やられてしまうことを…。

実際に桜木らは勝ちを確信しながらボールを追いかけていました。そこで、メンバーの油断を見てビシッと手を打ったのが主将の赤木です。相手の3ポイントシュートが決まると「油断するな!!」と一喝します。各選手もここでハッとなり気持ちを戒めました。

赤木の言葉はきっと、安西先生の気持ちが伝わってのものだったのでしょう。

注意を与える前に、自分たちで問題を発見し、対応を考えられるチームこそが理想です。ビジネスの世界でも、つねに自主的に問題を発見し、報告し、話し合い、改善していく組織が伸びていくに違いありません。強制されたスパルタ式では、最高の組織は生まれないのです。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。