亡きパパが息子を見つめる家族写真。フォトグラファーの努力が感動を呼んだ

写真はときに、言葉以上のストーリーを私たちに伝えてくれます。ある写真家は、亡くなった夫を写真の中に呼び戻し、実現しなかった家族写真をつくりました。

ステファニー・サマーズは、2014年に最愛の夫を亡くしました。そのとき彼女は妊娠5ヶ月、夫のトーリアンは息子の顔を見ることができなかったのです。

その1年後、ステファニーは思い出の場所で、夫と同じくトーリアンと名付けた一人息子と記念写真を撮ることにしました。そして、写真家のローラ・ゴーディリオは、以前に撮った夫妻の記念写真と今回の記念写真を合成し、実現することのなかったサマーズ一家の家族写真を1枚に「納めた」のです。

結婚記念日の写真が
最後の撮影になってしまった

この夫婦と、写真家のローラの出会いは、彼が亡くなる何ヶ月か前のことでした。

結婚記念日に写真を撮ることになったものの、初めは乗り気ではなかったというトーリアン。ローラも「彼を笑わせるのは大変だったわ」と当時を振り返ります。

しかし、出来上がった写真を見たトーリアンはその出来栄えに大満足。「これはすごいよ!これから家族写真を撮るときは、いつもローラに頼むことにしよう」と言って、ステファニーを抱きしめたほどだったと言います。

ところが、この先もずっと続くと思っていた家族写真の撮影は、これが最後となってしまったのです。

突然の飛行機事故は
ステファニーが妊娠5ヶ月の頃

そして、突然の悲劇が襲います。2014年8月、救急医療隊員だったトーリアンは、職務中の飛行機事故で亡くなってしまったのです。ステファニーが妊娠5ヶ月のときの出来事でした。

今度は息子と
同じ場所で家族写真

計り知れないほどのショックを受けたステファニー。まだ夫が恋しくてたまらなくて、当時のことを詳細に語ることはできないと言います。

それでも、夫や息子のことを想って、思い出の場所で息子と記念写真を撮ることにしました。撮影はもちろん、ローラへ依頼。

実現することのなかった
家族写真をプレゼント

ローラは、以前に撮影した夫妻の写真と、今回撮影した親子の写真を合成し、三人が写った家族写真を作ることにしました。

写真家である以前に、妻でもあり母でもあるローラ。写真の編集の間中、涙が止まらなかったそうです。それでも、ステファニーと息子のトーリアンにとって大切な写真になるだろうと、心を込めて作業を進めたそうです。

父の顔を知らなかった息子のトーリアンも、今では出かける前にこの写真を見て、「パパ、行ってきます」と声をかけているそうです。

Licensed material used with permission by Laura Gordillo Photography
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。