床一面が万華鏡!ロンドン北部の町に出現したインタラクティブな巨大カーペット

実在するモノに映像をシンクロさせるプロジェクションマピング全盛の現代。もしかしたら、このアーティストの存在がなければ、今日ここまでのデジタルアート興隆はなかったかもしれない。

デジタルアート界の巨匠、ミゲル・シュヴァリエ。彼のスケールはとにかくデカい。

うごめくピクセルの床
「魔法の絨毯」がオモシロい

2016年7月、ロンドン北部の街ミルトン・キーンズで開催された「ミルトン・キーンズ・インターナショナル・フェスティバル」、その会場の床一面1,200㎡を“光のカーペット”が埋め尽くした。

人が歩けば、床に映し出された映像も波紋のように動く。パターンが変われば色彩も変化する。さらに、彼らが手にする銀のボールに秘密あり。アルミニウムの球体が音楽を感知するセンサーとなり、音を奏でながら床面の映像に変化を与える仕組みだ。

こうして、光と音と動きが連動した巨大な万華鏡ができあがる。この大掛かりなインスタレーションを仕掛けた人物こそ、デジタルアート、ヴァーチャルアートの“パイオニア”と讃えられるシュヴァリエだ。

「エルメス」のエキシビジョン
デジタル・アートで協力

彼の名前を聞いてピンときた人は、ファッショントレンドに造詣が深い証拠。数年前、フランスの老舗メゾン「エルメス」から発売された、ちょっぴりギークなデジタル柄ヘヴィツイルタイの発表記念イベントに、シュヴァリエのデジタルインスタレーションを体験できるブースが東京・大阪に登場した。もちろん、モチーフはデジタル柄だ。

シュヴァリエは1980年代より、液晶ディスプレイやホログラフィックイメージを用いた芸術表現をスタート。近年は数十台のプロジェクターを用いて、歴史的建造物に投影するプロジェクションマッピングやインスタレーションをアートワークにした活動を精力的に続けている。

2014年にはイタリア南部プーリア州の古城で、2015年には英ケンブリッジ大学のチャペル内で、歴史とテクノロジーを調和させたデジタル・インスタレーションで人々を“光の万華鏡”の中に誘い込む。

「僕はいつも自分自身にこう問いかけるんだ。自分は技術者なのかそれともアーティストなのかって。でも、それらを同時に行っているとは、本当のところ誰にも分からないのさ」。

技術革新はビジュアルアートシーンに多大なる変革をもたらした、とシュヴァリエ。けれど、つねに変換され、それに適応できる柔軟さが求められるとも。人工的な森羅万象は姿形を変えながら、結合してはまた離れ、まるで生命を宿しているようにも思えてくる。

Licensed material used with permission by Claude Mossessian, Miguel Chevalier
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。