家族、友人、運動、仕事、睡眠。成功のためにあなたが犠牲にするものはどれ?

【起業家のジレンマといえば】

友人との関係、会社を大きくしていくこと、家族と過ごす時間、日々の運動、十分な睡眠。

選べるのは3つだけ。

これは、マーク・ザッカーバーグの姉ランディが、2011年にツイートした文面。成功するためには何かを犠牲にしなければならない、という「会社経営者たちのワークライフバランスを簡潔に表現している」、と当時話題になりました。

この前段を踏まえたうえで紹介する記事は、ランディの意見を真っ向から否定するコラムニストNicolas Cole氏の主張。今でこそ『Forbes』や『Business Insider』『TIME』などに連載を持つ売れっ子ライターですが、じつは彼、学生時代は根っからのゲームオタクだったみたい。

それでは、世界有数の起業家の姉 vs 元ゲーマー。どっちの意見に賛成できる?

欲しいものを手に入れる
それには犠牲が必要……NO!

ビジネスの世界には、以下のような真言が教訓のように存在しています。

成功したいなら、家族、友人、運動、仕事、睡眠のうち、どれか3つだけを選ぶこと。

まずもって、私はこの考えがナンセンスと思えて仕方ありません。それでも、こういったメンタリティで現に私自身活動してきた実体験から、この選択では、いつか人生に支障をきたすことが断言できるからです。

私は17歳の時、「ワールド・オブ・ウォークラフト」というオンラインゲームで、北アメリカ最高のプレイヤーにランキングされました。が、当時の私はこの5つすべてを犠牲にしていたのです。

本当の意味で成功するためには、これら5つすべてのバランスが保たれていることが大前提。では、なぜすべてが必要なのか?

成功とは、短距離走ではなく
マラソンのようなもの

オンラインゲームで国内ナンバー1を目指して競い合っていた当時、私の生活は不健康そのものでした。1日の睡眠時間は4時間以下という日々を、数ヶ月も送っていたのです。結果、想定される問題が案の定、次々に降りかかってきたのです。

まず、高校を卒業できるかどうかの瀬戸際に追い込まれた私。かなりの数の病欠を装っていたため、留年を警告する通知が自宅に届きました。さらに、ゲームにのめり込むあまり、食事もまともにとらず栄養不足に。

睡眠も不十分に、とにかくゲームの目標をクリアしていきたい。その一念でベッドに入ってからも、なかなか眠りにつくことができませんでした。はるかに健康的な他の選択肢もあったはずなのに。

現在、ほぼすべての業種業界において、成功も、家族も手に入れたくば「睡眠を犠牲にするしかない」という風潮と、悪しきメンタリティに苦しめられているように思えます。何人かエンターテインメント業で活躍する友人がいますが、彼らは自分たちの睡眠時間の少なさをあたかも正当化し、誇りにするかのように振る舞います。

また、「4〜5時間の睡眠しか自分に許さない」、こう主張する起業家の記事を読んだことがありますが、彼らの生活がどんなものかを想像することはできます。17歳のあの頃の経験があるから。ゾンビのようにPC前に座り続けていなければ、決してナンバー1にはなれなかったはずだから。

でも、目標を達成するために全力を尽くす必要なんてない、と言っている訳ではありません。一生懸命、精進することはやっぱり大事。ただ、睡眠を犠牲にすることが、仕事への姿勢であり、信念の証だなんて考えるのは止めましょう。いつか自分の限界にぶち当たるだけだから。

5つの要素は、すべてが揃って
はじめて恩恵がある

ところで、リラックスタイムや睡眠時間の少なさが、あたかもステータスであるかのように勘違いをしていたり、前述の真言に基づいた生活を続けているようなとき、私たちは自分のパフォーマンスが妨げられている事実に気づいてないことが往々にしてあります。

十分な休息をとった後のことを思い出してみましょう。あなたは気分もリフレッシュし、行動はより機敏になっているはずです。休息を設けることができれば、エネルギーを補充してまた仕事へと戻ることができる。これは紛れもない事実です。

睡眠を犠牲にすることは、あなたの生産性を著しく低下させるばかりか、友人や家族と過ごす時間をも犠牲にすることで、虚しさが生じ、仕事に集中することすら困難にさせてしまう。

けれど、家族、友人、運動、仕事、睡眠、この5つの要素すべてを手にした時、これらはあなたに恩恵をもたらし始めるのです。

ヒラメキは
日常の“副産物”

たとえば、最高のアイデアに限って、たいてい突発的に頭の中に生じるもの。夕食の会話中に閃くこともあれば、ホッケーの試合会場に向かって車を走らせている時、ふと舞い降りることもあります。デスクで何時間も知恵を絞っている時ではなく、ふとした瞬間に訪れる。ですよね?

私はいま、規律ある日々を送ることに大きな意味や価値を置いています。でも同時に、それらの習慣が常に適切ではないことや、人生のあらゆる局面に当てはまらないことも十分に理解しています。というのも、もし人生のすべてが秩序立ったものであるとしたら、あなたは自分の求めるものに通ずる大切な何かを見逃しているんじゃないでしょうか?本当に必要なのは「秩序と無秩序」であり、「習慣と奔放さ」、つまりは背反するもののバランスです。

理想や目標は消去法ではなく
生き方そのものを創造すること

もし、あなたが5つの要素のうち、たとえば仕事、友人、運動の3つを選び、家族や睡眠を犠牲するような人なら、チャンスと創造性における重要な要素を2つ失ったことになるのです。

心の中の何かをゆり動かすような家族の団らんに、何度居合わせたことがありますか?夕食中の何気ない会話から、どれだけ自分の考えを変えようと思ったことがありますか?もしくは、深い眠りから目覚めた後、仕事への新たなやる気を得た経験は?

“成功への道”、その本質は目標を達成することではありません。そもそも目標なんて取るに足らないもの。一旦達成してしまえば、また新たな目標ができる。それもクリアしてしまえば、また次の目標へ……このサイクルは永遠と続くのですから。

そうではなく、真の成功の道とは、理想とする人生のリズムやライフスタイルそのものを創造することにあるのです。「物質的な成功」と「精神的な成功」のはざまで最大の利益を得る。そのためには、ここに挙げた5つの柱ひとつたりとも欠かさないことが重要なのです。

Licensed material used with permission by Nicolas Cole
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。