ヘルシーなのにちゃんと美味しい「台湾素食」を試してみませんか?

スイーツを中心に日本でも火がつき、今グルメたちの間で高い注目を集めている台湾料理。その中でも歴史と伝統のあるのが「素食」です。

素食とは、台湾の精進料理のこと。儒教の教えが浸透している台湾では、人口の12割がヴィーガン(完全菜食主義)ともいわれ、街を歩けばそこかしこに素食レストランを見つけることができます。

長い歴史に育まれた台湾の素食文化は、「質素」というイメージを持たれがちですが、今や美食家もうなるレベルに進化しています。鮮やかな彩り、植物性の食物だけで作ったとは思えない豊かな味わい……誰もが食べてみたいと思える、魅力的なメニューが満載なのです。

素食の基本
ハチミツやニンニクもNG!?

まずは素食の基本を。素食専門店『中一素食店』のオーナー・李健福氏に話を伺いました。

「儒教の教えから生まれた素食は、『殺生してはならない』という規律が基礎になっています。そのため、動物性の食物は一切使いません。素食用の加工品に動物性のものが使われていると、メーカーが逮捕されてしまうほど厳しく規制されているのです。カツオだしなどのスープはもちろん、ハチが巣の中で加工したものであるためハチミツも使いません。さらに『五葷(ごくん)』と呼ばれるタマネギ、ニンニク、ラッキョウ、アサツキ、ニラの5種類の植物も口にしません。これらは内臓、とくに腎臓・肝臓に影響が強いということで、避けられています」

植物だけ、しかも風味を彩るニンニクなども使えない……となると、さぞかし質素な食卓になるのでは? と思ってしまいますが、素食メニューは驚くほどに華やかで味わい豊か。

「素食は、台湾で長い年月をかけて人々との生活に根付いてきました。日本のそばやラーメンのように、毎日普通に食べられる料理なのです。そのため、日々台湾中の料理人が素食の美味しさを求めてメニュー開発をしています」

素食の研究が進んでいる台湾は、動物性食物の味や食感を植物で再現する技術が最も優れている国ともいわれています。豚肉は大豆、ヤギ肉はシイタケ、魚の身は豆腐、皮は湯葉、アワビはこんにゃくなど、さまざまな食材を植物で再現しており、食べてみるととても野菜とは思えない食感と風味に驚かされます。

美容と健康、
そして心にも効く食事

素食は、台湾ではアレルギーや生活習慣病の改善につながるともいわれています。

「今の時代は抗生物質を飲ませたり、無理な品種改良などをした家畜の肉を食しています。こういう肉を食べると血液が汚れて酸化しやすくなり、病気も起こりやすくなるのです。体は食べ物でできているので、クリーンな物を取り入れれば、自然に健康になりますよ。それに素食をしていると便通も良くなり、肌荒れや肥満をしなくなります」

さらに、素食を続けていると気持ちも穏やかになっていくのだとか。

「もともと素食は修行僧の食事でした。動物性の食物やニンニクなどの『五葷(ごくん)』は内臓に強い影響があり、人間が食べると興奮してしまうのです。植物だけを食べていると、内臓に刺激がいくことがないので、ずっと穏やかにいられるんですよ」

「素食」を
食べられるお店は?

日本で素食を味わえるレストランは李氏が経営する国立/六本木の『中一素食店』のほか、下北沢『薬膳食堂ちゃぶ膳』、中野『香林坊』、自由が丘『野饗』、新大阪『BelleVue慶招樓』など徐々に増えつつあります。とくに素食をうたっていない台湾料理店でも、素食メニューを出していることもあるので、近所のお店のメニューをチェックしてみるのも手です。

また、ネットで手に入る代用食材も増えてきました。中一素食店でも、ウェブ販売を行っており、代用肉・魚のほか、インスタントラーメンやカレー、シチューなど、一般の家庭料理と同じような食材がそろっています。自宅でも気軽に素食が楽しめる時代、内側から美しくなりたい人は、ぜひお試しを!

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。