失われた「バーミヤン大仏天井壁画」が、 原寸大で完全復元されようとしています

2001年3月、衝撃的なニュース映像が世界中を駆け巡りました。アフガニスタンのバーミヤン大仏像が無残にも破壊されたのです。今なお、シリアやイラクでも古代遺跡が過激派組織「イスラム国(IS)」によって破壊されるなど蛮行が繰り返されています。

こうした戦乱で失われた文化遺産を復元しようと、あるプロジェクトが進行中です。

砲撃や爆破で失われたのは
大仏だけではなかった

バーミヤン東大仏が破壊された後の様子


バーミヤン遺跡の砲撃や爆破によって失われたのは、東西2つの大仏だけではありませんでした。それは、古代シルクロードの東西文明の交流の象徴であったバーミヤン壁画「太陽神と飛天」。1400年もの昔、三蔵法師も目にした貴重な文化遺産だったのです。天然の鉱物や動植物を素材とする顔料を用いた制作技法や流麗な線描は、日本の法隆寺金堂壁画の源流ともいえます。

高精細デジタル化によって
壁画を原寸大で完全復元へ

(写真上)ポジフィルムを高精細デジタル化してデータ化。色補正後、原寸大に拡大して分割印刷する
(写真下)バーミヤン壁画の原寸大復元完成予想図

憎む気持ちを増幅させるのではなく、「祈る心を再生」していこうと、東京藝術大学のスタッフが立ち上がりました。バーミヤン大仏壁画を原寸大復元させるプロジェクトです。

奥行き8m、幅7m、高さ3mの天井壁画が完成する予定。ここまで大きな規模の完全復元は世界初となります。

幸運にも、1970年代に撮影された膨大な数の写真を京都大学の研究所で発見。これらを東京藝術大学が開発した特許技術で、高精細デジタル化すれば岩などに描かれた壁画も、壁の質感や顔料の盛り上がりまで再現しながら立体的に復元できます。軽量素材を用いて質感まで復元するため、あたかもバーミヤンの洞窟に立っているような感覚を実感できるといいます。

失われた壁画の素晴らしさを
伝えるため、展示会を開催

2016年4月12日から6月19日まで、東京藝術大学美術館(陳列館)にて、アフガニスタン特別展『「素心 バーミヤン大仏天井壁画」~流出文化財とともに~』を開催。原寸大で完全復元した「バーミヤン東大仏壁画」を、こちらで展示します。

現在も制作が進行中ですが、じつは復元費用が不足。クラウドファンディングサイト「READYFOR」のコチラのページで費用を募っています。ぜひ、ご協力をお願いします。

コンテンツ提供元:READYFOR

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