コミュニケーションがうまくいく「傾聴力」の磨き方

谷本有香

経済キャスター/ジャーナリスト。証券会社、Bloomberg、日経CNBCなど金融経済番組のキャスターとして従事、日経CNBCでは初の女性経済コメンテーターに。2011年からフリーランスで活動中。英ブレア元首相やマイケル・サンデル ハーバード大学教授の独占インタビューはじめ、マレーシアのマハティール元首相やハワード・シュルツ、スターバックス会長兼CEOなど世界の1000名を超える著名人にインタビュー実績あり。テレビ朝日「サンデースクランブル」にゲストコメンテーターとして不定期出演中。

「準備⇒本番⇒フォロー」の3ステップに沿って学んでいくことで身につく、プレゼンや商談、面接で役立つコミュニケーション術「アクティブ リスニング」。

今回からいよいよコミュニケーションのメインとなる「本番」についてお伝えしていきます。アクティブ リスニングの基本は聞くことですが、聞くにも「傾聴」と「問答」の2種類あることは前述のとおり。まずは最初にするべき「傾聴」について学んでおきましょう。

相手の話に耳を傾けるのは
簡単ではないことを
知っておく

「相手の話に耳を傾けるなんて簡単じゃないか」と思うかもしれません。自分では耳を傾けているつもりでも、ほかのことを考えたり、気をとられたりすることってないでしょうか。そういう微妙な変化は不思議なほど相手に伝わり、「なんだかつまらなそうだな」「こんな話でいいんだろうか」という戸惑いを抱かせます。

傾聴には「心構え」が重要です。真面目に相手の話を聞いていても、一言も聞き漏らすまいと必死になっている姿は、相手にプレッシャーや不快感を与えてしまうもの。

心構えの基本は、相手に敬意を示し、最高の気分で話してもらえる雰囲気をつくるということです。ただ神妙に聞いていればいいわけではないことが分かるかと思います。

雰囲気がコミュニケーションに
与える影響を軽く見ない

“話の内容こそが一番大事で、それがきちんとしていれば問題はない。”
そう思っている人は、案外多いものです。日本人は雰囲気づくりに無頓着なところがあるんですね。

例えばお茶をお出しするにしても、茶托に少しこぼれているだけで気分を害するゲストもいらっしゃいますし、湯呑みもプラスチック製は一切使わず、本格的な焼物を用意したりしていました。他にも相手の好きな飲み物や食べ物を準備しておいたり、受付から花を借りて飾るというのもよくやっていました。
日々のビジネスでもこれは同じ。「あなたのため」にという心遣いは、どんな小さなことでもきっと伝わります。

名前を繰り返し呼ぶことで
相手への興味を自然に示す

そもそも相手への興味がまったくない状態では「傾聴」する気がおきません。前提として相手に興味を持つ必要があります。人は、自分に興味を持っている相手を嫌いにはならないものです。

初対面であったりあまりよく知らない相手に興味を持つ一番簡単なやり方は、相手の名前を10秒で覚えて繰り返すこと。不思議なもので、名前を呼んでいる内に相手に興味が湧いてくるのです。

どんなに偉い人が相手でも
萎縮せず「素」で向き合う

私は以前、上司や年配の方と話をする時、「偉い人なんだろうな」「私でいいんだろうか」などと考え、萎縮する癖がありました。

この癖を直すためにやってみたのは、「家では優しいお父さんなんだろうな」「奥さんには頭が上がらなかったりして」などと想像してみること。相手も同じ一人の人間だと思うと身近に感じられ、不思議と気後れしないのです。
「傾聴」の心構えで一番大切なのは、お互い人間対人間として「素」で向き合うことだと思います。敬意はしっかり持ちつつ素直な気持ちで心を開けば、相手も自然体で接してくれるはずです。

本物の傾聴力を身につける
「15のスキル」

いかがでしょう、ただ相手の話を聞いていればいいわけではないことが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
ここでご紹介した傾聴のスキルはほんの一部。書籍では傾聴力を磨くスキルとして、15の項目を用意しています。今回もざっくりと傾聴スキルについてまとめておきますが、もっと具体的にスキルを身につける方法を知りたいという方はぜひご一読ください。

01.相手が最高の気分で話せる雰囲気で迎える
02.相手先へ出向く時も、敬意のひと手間を惜しまない
03.本番直前に、相手と笑い合っているシーンを思い浮かべる
04.最初の挨拶は、オーバーなくらいでちょうどいい
05.冒頭のひと言で、相手の気持を柔らげたり、高めたりする
06.初対面の相手は、名前を10秒で覚え、繰り返す
07.その日の相手との共通点を探してみる
08.苦手な気持ちをコントロールする
09.熱意や覚悟を心の中に持つことで、自信を示す
10.相手と「素」で向き合う
11.相手のツボに反応する
12.アイコンタクトは控えめがいい
13.大勢の中でもしっかり反応する
14.相手の共感を引き出すフレーズやアクションを使う
15.終わりの演出にこだわる

コンテンツ提供元:谷本有香

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