日本人だけが気づいていない「お金」と「インターネット」について

私たちが普段、新聞やニュースでよく目にする「GDP」や「株価」などの、お金の動きの背景には、様々な人と人とのつながりがあり、信頼関係があります。そのような人と人とのつながりを加速させ、強固にするために人類が新たに生み出した発明がインターネットです。

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自著『なぜ日本人は、こんなに働いているのにお金持ちになれないのか?―21世紀のつながり資本論』では、インターネットとお金という、便利な道具について考えています。
お金は、人と人とをつなぐモノなのです。

01.
部屋を出て「感じる」ことで
リアルにつながる

忘れてはならないことは、お金同様、インターネットもまた、私たちがつくった便利な道具であるということです。便利すぎる道具だからこそ、「依存」してしまったり「盲信」してしまったりする恐れがあります。
私たちがこれから先の時代に選ばなければならない道は、やはり、私が世界一周の旅に飛び出したのと同じように、1人1人が部屋の外へ出て、自らの身体で世界を感じ、そこで他者とリアルにつながることです。

インターネットで多くの情報を得たところで、それだけでは本当に価値があるかどうかを感じられません。気合いの入ったバックパッカー旅でなくても良し。ちょっとした観光を通してでも、いろいろな価値に触れ、感じてみることをお勧めします。

02.
Facebookがつないだ
世界をもう一周できるほどのお金

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私は南米コロンビアの首都、ボゴタで強盗に遭いました。生まれて初めてピストルを突き付けられ、身につけていた時計と服以外の、残りの旅の期間に必要なお金、キャッシュカード、iPhoneやカメラ、メガネなどをほぼすべて失ってしまいました。
旅の資金を失った私はどうしたか。帰国も考えましたが、ある決断をしました。それは、旅の資金を日本にいる友人たちに提供してもらえないかFacebookで呼びかけることです。

結果、多くの友人知人から、世界をもう一周できるほどの資金提供の申し出をいただきました。もちろん私は「帰国したら働いて返します」と伝えましたが、その必要すらないという友人も何人かいました。「その代わり、やりたいことを成し遂げて、無事で帰ってこい」というのが彼らの共通のメッセージでした。
私はその資金によって、その後も旅を続けることができました。

03.
「お金」は
人とのつながりを生む

さて、このつながりを結んでくれたものは何だったのか?
それは、「お金」でした。

日本にいる友人知人たちから寄せられたお金。その裏側にある信頼。何よりも、彼らに対する強い感謝が、かけがえのないつながりを生んでくれたのです。それはまさに、お金とインターネットという人間が発明した素晴らしい道具が、人と人の間にある信頼の媒介物として役立った瞬間でした。
私はお金やインターネットが持つ、道具としての素晴らしさを深く信じることができました。お金とは本来、誰かを貶めたり、不幸せにするものではなく、やはり、私たちをつなげ、幸せにするための道具なのです。

04.
正直者が
馬鹿を見ない世の中へ

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インターネットという道具を使うことにより、ほんの小さな出来事も、大きなうねりとなって世界を動かす可能性を持つようになりました。
数々の起業家に関わってきたNPO法人の宮城代表は言います。
「最近は旗を掲げて頑張っていると、世の中のほうが勝手に見つけて応援してくれるようになった。」

これまで、つつましく誠実な生き方とは、豊かな信頼関係を約束するものではありました。しかし、必ずしも経済的な豊かさを呼ぶものとは限りませんでした。いわゆる「正直者が馬鹿を見る」ということです。
しかしこれからは違います。それぞれが人や自然にまっすぐ向き合い、ともに働き、工夫し、新しい付加価値を生み出す。そのように地に足をつけて生活する人たちこそが、より多くの他者とつながり、信頼関係を築き、経済的な豊かさも、理想を実現する力も手にすることができるのです。

05.
「お金」は
感謝と信頼の道具

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「儲ける」という字は「信じる者」と書きます。お金とは「自分を信じてくれる人」と「自分が信じた人」との信頼関係そのものなのです。
そして、本当に大切なのはお金そのものではなく、その奥にある「つながり」。今、私たちの財布の中にあるお金も、銀行口座の残高の数字も、そのすべてに、誰かとのつながり、誰かからの信頼と感謝が詰まっています。

人と人をつなぎ、理想を実現する力をくれる道具、それが、「お金」です。

なぜ日本人は、こんなに働いているのにお金持ちになれないのか?―21世紀のつながり資本論
コンテンツ提供元:いろは出版

渡邉賢太郎

大学卒業後、日本FP協会、認定AFP(=アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)取得。リーマンショックを機に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を退職。2011年5月から2013年4月まで、世界一周の旅に出る。帰国後、NPO法人ETIC.に入社。自分らしく生きる人々の挑戦が応援される社会をテーマに、起業家が育まれる「挑戦者の生態系」構築を目指して奮闘中。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。