「美しく見せる」ために、CAがやっているコト8つ

私は25年間のCA経験を生かし、後輩たちにエレガントな立ち居振る舞いの指導をしています。エレガントさは一朝一夕で身に付くものではありませんが、意識するだけでずいぶん印象は変わります。

ここでは、拙著『「また会いたい!」と言われる女(ひと)の気くばりのルール』から、その具体的な方法を紹介しましょう。

01.
第一印象はやり直せない…
ワンランク上のみだしなみを意識する

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「You never get a second chance to make a first impression.(第一印象はやり直せない)」
先輩に言われた言葉です。

自分が人からどう見え、どんな声で話し、どんな香りをまとっているのか。この3つを客観的にとらえて、努力すれば第一印象は変わります。第一印象を爽やかに演出するためには欠かせないのは清潔感。そして、そのポイントは大きく分けて3つ。髪と肌の艶、指先の爪、そして服装です。

ANAの制服はクリーニングされ、プレスした状態で仕上がってきますが、着用前に必ず自分でアイロンをかけ、襟元や袖口が崩れないよう、のり付けしながらきっちりと仕上げるのが私のこだわりでした。見た目はほとんど変わりませんが、見ている人は見ているもので、きちんとした身だしなみと自己管理へのこだわりがトップVIP担当のCAに抜擢されるきっかけになったのです。

みんなと同じ制服だからこそ、差が出ます。ワンランク上の身だしなみを目指しましょう。

02.
指先のしぐさひとつで
見た目の美しさがアップ

「目は口ほどにものを言う」という言葉があります。同様に、ものを言わない手もまた、とても豊かな表情を持っています。手の動きや指先のしぐさが美しい人は、不思議と人を引きつけるものです。

以前、京都の舞妓さんに会う機会がありました。彼女たちは手を使わない時、着物の袖で手全体をすっぽりと隠してしまいます。理由をたずねると「手にはおしろいを塗っていませんから」という答えが。しかし、私はもっと深い意味があるように感じています。手持ちぶさたな時は余計な動きをしがちですし、手で何かすると生活感が漂う。するとお客様は興ざめしてしまうので、無意味に手を出さないようにしているのではないか、と私は思っています。

何もしていない時のあなたの手はどうなっていますか。ぶらぶらと遊ばせていませんか?どんな時でもきちんと指先をそろえるようにしましょう。それだけでも見た目の美しさが際立ちますよ。

03.
常に姿勢を意識すると
印象もスタイルもよく見える

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姿勢がいいとそれだけで美しく見えるものです。
立ち姿を美しくするコツは2つ。お尻に力を入れ、膝とつま先の方向を同じにする。そして背筋とひざ裏を伸ばす。日本人は一般的にひざが曲がり気味なので、膝の裏側を意識するだけでずいぶん違います。

また、立ち姿だけでなく、座り方も意外と見られています。背もたれに寄りかからない。膝頭をくっつける。そして脚を横にすべらせて斜めに流す。この3つを意識するだけで、すっきりとした印象を与えられます。

いい姿勢を保とうと意識することで筋肉も付くので、スタイルもよくなりますよ。

04.
歩き方は「1秒1歩」
テンポよく、リズミカルに

知性は歩き方にあらわれる。これは私の持論です。
実はCAは歩き方のトレーニングをほとんどしません。仕事をしながら先輩に指導してもらったり、自分で気をつけてスキルアップに努めるものなのです。

私が後輩たちに教えていた歩き方をお教えします。
歩く時もひざ裏を伸ばします。後ろにある脚の後ろを伸ばすと、すらりとして見えます。首が前に出ないよう、背中と頭がまっすぐになるよう意識します。背筋を伸ばすことも大事なポイントです。肩甲骨を寄せて下げると自然に背筋が伸びます。

また、あくまでも目安ですが、1秒1歩ぐらいのつもりでゆっくり歩くように心がけましょう。せかせか歩いていてはお客様が声をかけづらくなってしまいます。テンポよくリズミカルに歩く。これもお客様に対するおもてなしのひとつだと心得ましょう。

05.
意外な盲点…
後ろ姿にこそ気をくばる

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質問です。お客様に一番よく見られている場所はどこだと思いますか?

それは意外にも「後ろ姿」です。自分でチェックできる前からの姿と違って、後ろ姿はなかなか意識しにくいもの。鏡の前に立ったらぜひ、確認するようにしましょう。寝ぐせ、洋服のシミ、シワなど、思いのほか見苦しい点が見つかることも…。
正面からの姿をどんなにがんばっても、後ろ姿が美しくなければ台無しになってしまいますよ。

06.
ハンカチ1枚でも
宝物のように、大切に扱う

たとえハンカチ1枚であっても、その方にとっての価値は計りしれません。もし、形見の品であったり、大好きな人にプレゼントされたかけがえのない思い出の品だとしたら…。弁償など決してできません。お客様の荷物はすべて、宝物のように大切に扱う。そうすれば予想外の失敗も未然に防げます。

荷物の扱いはクレームにもなりやすいので「かけがえのない宝物」と思えば、心して丁寧に扱うようになります。そして、そういうしぐさがエレガントに見え、お客様に安心感を与えるのです。

07.
香りの主張はほどほどに
つけ過ぎはNG!

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日本人は香りにとても敏感です。ANAではお客様の前に立つ場合は香水をつけないという決まりがありました。食事や飲み物をおいしく食べていただくためにも、余計な香りはないほうが望ましいのです。自分自身はいい香りに包まれているつもりでも、お客様が不快に思う可能性もありますし…。
ただ、お客様の中にはかなり強い香水をつけていらっしゃる方もおられます。こうしたお客様のコートやジャケットは、他のお客様のお召し物や荷物と一緒に収納しないようにするといった配慮が必要です。

お客様ご自身の香りはどうすることもできませんが、他のお客様にご迷惑をかけないよう、ホストは必ず香りにも気くばりをすべきです。

「また会いたい!」と言われる女(ひと)の気くばりのルール
コンテンツ提供元:里岡美津奈

里岡 美津奈/Mitsuna Satooka

人材育成コンサルタント。1986年全日本空輸株式会社(ANA)に入社。在職中、VIP特別機搭乗を務め、皇室、各国元首脳の接遇で高い評価を得る。2010年に退職。現在は人材育成コンサルタントとして、一般企業や病院でコミュニケーションスキルアップの指導にあたっている。

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