仕事の指示は「WHY」からはじめる。部下に慕われるリーダーになる「9のヒント」

スターバックスコーヒージャパン、ザ・ボディショップのCEOを務めた、日本を代表するトップビジネスパーソンである岩田松雄氏。「誰の味方であるべきか」「何を重視すべきか」「部下とどう接するべきか」。彼のマネジメント論は、具体的かつ実践的だ。

著書『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』には、そんな彼なりのリーダー論が満載。今回はその中から、今日から実践できるマネジメントのヒントをまとめた。

01.
ピッチャーとサード、
どちらが偉いか?

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スターバックスCEO時代、とにかくよく店舗を回っていました。でも、社長がお店に来ることに慣れていないスタッフも多く、緊張してしまう人も多くいました。
そんなときは、野球に例えて説明をします。ピッチャーとサード、どちらが偉いかなんていうことは考えても意味がないでしょう。なぜなら、それは単なる役割の違いだから。社長と店舗スタッフも同じです。
そして自分は偉いんだという変なプライドではなく、「みんなを幸せにしたい」という使命感をリーダーは持つべきなのです。偉そうにしてもしょうがありません。もつべきは世の中や組織をよくしたいという使命感です。

02.
部下に関心をもつことから始めなさい

人に興味をもたれていないと感じると、人はやる気を失ってしまいます。それは部下でも、さらにその部下でも一緒。リーダーこそ、直近の部下だけでなくみんなに気を配り、何気ない一言でもいいので声をかけるようにしましょう。「どう最近元気?」「何か困ったことない?」などちょっとしたひと言がとても大切です。
チームのモチベーションアップにつながるのはもちろんですが、不満やリスクについていち早く気づくための情報収集の機会にもなります。
ただわたしは、部下と飲みに行く必要はないと思っています。会社を出ればそこはプライベートの場ですし、大事な話はお酒の場ではなく、シラフでできる関係をつくるべきだからです。

03.
誰よりも現場の味方になる

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リーダーはアルバイトでも役員でも、常に等距離の関係を保つことが大切です。そして、私は自分に近い人にほど厳しくするようにしていました。立場の弱いお店や現場の味方であるようつとめるべきです。私はスターバックス時代も、お店に行くたびに「困ったことはないですか」と聞いていました。そうすると、やはり何かしらの問題点が見つかります。
本社が良かれと思って施策を講じても、現場に評価されていなければ大問題。リーダーこそ、率先して現場を訪問しサポートすべきです。

04.
仕事の依頼は「Why」から

なにかを頼むときは、そのタスクの全体における意義や意味をまず伝えます。このプレゼン資料はどんな場で、どんな人に向けたものなのか。優先順位はどのくらいか。その仕事の背景を説明していれば、ブレスト用の資料などで必要のない細かい部分にこだわって無駄な時間がかかったり、役員会議用など精度の高さが求められる資料に計算ミスが散見されたりする、といった事態を減らせます。
さらにその資料への修正を入れる際は、まずどこか褒めることが大切です。「きれい」「分かりやすい」など良い部分を褒めた上で、「こうしてほしい」を伝えます。この一言で、部下のやる気や使命感はグッと変わるはずです。

05.
リーダーは結果責任が全てである

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就任後、結果を出すまでには時間がかかります。私の経験だと、だいたい半年はかかりました。知識も身につけなければなりませんし、お店や現場を回らないといけないこともあります。
これはコンサルティング会社で学んだことですが、まず3か月で業界や会社の概要をつかみ、強みや弱み、機会や脅威などの分析をして、戦略仮説を出す。次の3か月でそれを実行に移していく。むやみに焦ることなく、この6か月をひと区切りに考えるのがよいと思います。
リーダーは結果を出すことが大事ですが、部下の評価はプロセスを大事にすべきです。ザ・ボディショップ時代、店舗開発担当者が不動産会社を1軒1軒回って出店候補地を見つけてきてくれました。こういった地道な努力を評価することこそで、会社として何を大切にしているかを示すことができます。部下の努力をしっかり評価して、仕事へのモチベーションを大きく高める評価をしなくてはなりません。

06.
大きな方針は
「直感」で作っていい

大きな方向性やビジョンを決めるには、確たる裏付けやロジックがなくてもいいと思っています。
それまで売り上げ100億円を突破できずに足踏みしていたザ・ボディショップでは「売り上げ150億円」を目標にしました。出店可能性や世界でのシェアを鑑みて達成できると思ったのです。

スターバックスでは「2000億円」を掲げました。素晴らしいブランドだし、地方にはまだまだ出店余地があると感じたからです。
できると思って本気になって進めば、それに合わせて出店もするし人の採用もする。会社が大きな目標に向けて動き出すのです。

07.
評価は「上・横・下」の
全範囲から見て下す

trueleader

部下の評価は難しいものです。上にばかりゴマをすり、下に尊大な態度を取るという人は意外に少なくありません。上から見た評価と下から見た評価が大きく違うこともあります。部下の同僚や、部下の部下にも意見を聞き、広く情報を集めるべきです。
経営で一番大切なのは人事。経営イコール人事(評価)と言っても良いくらいです。上司にゴマをする人を出世させる会社では、みんながゴマをするようになってしまいます。

08.
「to do good」よりも
「to be good」になりなさい

trueleader

仕事が「できる」「できない」を横軸に、性格が「いい」「良くない」を縦軸にマトリックスを作ります。「仕事ができて、性格がいい」、もちろんこの部下が最高です。次にありがたいのは「性格はいいが、仕事はいまひとつ」です。手間はかかりますが、得意なところをみつけて伸ばしてあげればよいのですから。難しいのは「仕事はできるが、性格は良くない」です。
こういう部下が出した数字を評価してボーナスを出すことは必要かもしれませんが、人の上に立つポジションに昇進させてはいけません。上のポジションに行くほど、求められる能力は「スキル」ではなく「人格(徳)」なのです。
スキルだけを高めてもいずれ限界がやってきます。人間性そのものを高めることこそがリーダーにとって必要です。

09.
部下は「鏡」、上司は「試練」

コミュニケーションというのは、鏡のようなところがあります。部下と相性が悪いこともあります。そういうときには、挨拶からはじめて、自分からコミュニケーションをとり、歩み寄ってみましょう。

一方で上司とうまくいかないという悩みもあると思います。こちらから歩み寄るのが難しいこともあるでしょう。日本企業は平均で4〜5年で部署を異動しますから、その間我慢するというのもひとつの手です。
私にも上司と合わない経験があり、ノイローゼになりかけたこともありますが、リーダーになるための試練だと思います。いつか、その辛い経験がリーダーにとって役に立つときが必ずきます。

「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方
コンテンツ提供元:サンマーク出版

岩田 松雄/Matsuo Iwata

株式会社リーダーシップコンサルティング代表。ジェミニ・コンサルティング・ジャパン、日本コカ・コーラ株式会社、株式会社アトラス代表取締役社長、株式会社タカラ常務取締役、株式会社イオンフォレスト代表取締役社長などを経て、スターバックス コーヒー ジャパンのCEOとして「100年後も光り輝くブランド」を掲げ、業績を右肩上がりに成長させる。現職では、次世代のリーダー育成に力を注いでいる。

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