ハーバード大が謎に迫る。コーヒーの量が自殺のリスクに影響?

健康情報サイト「STETHNEWS」に「コーヒーがあなたを幸せにする」と取り上げられたのが今年4月。2013年の研究で、調査にあたったのは、あのハーバード大学。

自殺のリスクが半減する!?

ハーバード大学公衆衛生学部の研究チームが発表した、にわかに信じ難いこの調査結果。毎日2、3杯コーヒーを飲む習慣にある人は、自殺のリスクが約50%減少するというのだが、はたしてその真相は…。

コーヒーに含まれるカフェインは、中枢神経を刺激することで知られているが、脳の特定の伝達物質(たとえばドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなど)の生産を増強することによって、軽度の抗鬱剤としての効果と同じ作用が得られるのだそう。これは、過去の免疫学研究で言われてきた、鬱病へのリスク軽減を実証するものと考えられている。

約20万人の被験者を対象に
20年間に渡って調査

新しい研究では、男性43,599名と164,825名の女性の被験者に対してコーヒーとカフェイン飲料、そしてデカフェ(カフェイン抜きのコーヒー)の3種類の摂取量を4年間ごとに調査し統計を取り、膨大なデータを集めたそうだ。
ちなみにカフェインはコーヒー以外にもチョコレートやお茶、カフェイン入り飲料からも算出されるため、必ずしもコーヒー摂取だけではない。とは言え、そのメインはやはりコーヒーによるもの。

さて、およそ20年間に渡る調査の結果、約20万人の被験者のうち、自殺で死亡したのは277人(年間約13.8人)だった。この数字をどう見るか。
WHO発表の記録(2012年)を参考にしてみると、アメリカの人口10万人(実際には3億人超え)に対して自殺率は年間13.7人。この計算からいけば、確かにコーヒーを摂取した結果、自殺率が半減したことがざっくりとだが証明できる。

こうした情報を集計し研究者らは、一日に飲むべきコーヒーの量を2〜3杯、量にして400mlを目安にすることが理想と定義付けたそう。

コーヒーがもたらすポジティブな影響

なぜ、コーヒーが自殺率の減少をもたらすのかは、厳密には解明されていないものの、研究者はコーヒーが人間にもたらすポジティブな影響を確信しているようだ。
事実、カフェインはただ脳の働きを活発にさせるだけでなく、抗鬱剤のような役割も果たすことが分かってきた。また、大麻などと同様の作用をもたらし、中枢神経に働きかけて、幸福感を生み出す脳内物質の生成を促す効果もあるという。

飲み過ぎは逆効果!

この研究は、コーヒーによって鬱を治療することはできないものの、鬱病への対策として、コーヒーを飲むことが少なからず良い影響を与える可能性があると見ている。もしかしたら、近い将来、コーヒー療法が実際に行われる可能性がないわけではない。

しかしながら、カフェインの過剰摂取は睡眠時間を減少させたり、イライラをつのらせ情緒不安定にさせるというマイナス面もリスクとして考えなければならないようだ。
フィンランドの研究チームは1日に8〜9杯のコーヒーを飲んだ被験者に自殺願望に似た症状が見られた結果から、カフェインの摂り過ぎにも注意喚起をしている。

必ずしもガブ飲みしたからといって、幸せな気分で満たされるわけではなく、逆に飲み過ぎは危険をもたらすこともある、ということは憶えておく必要がありそう。

結局、コーヒーは嗜好品。アルコールやタバコのような中毒性は無いと言われてはいるが、何でもほどほどが良いのは間違いない。朝から晩までコーヒー尽くめの方は、頭の片隅にでも入れておいて損はない内容では。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。